人を集める仕組みと、稼ぐ仕組みは別につくる ― 客寄せパンダとてこの原理

客寄せパンダとてこの原理 営業・広報
客寄せパンダとてこの原理

前回は、不況への備えと、自社が勝てるニッチ市場を見極める大切さについて書きました。今回は、収益をどう組み立てるかという、もう少し実務的な工夫についてお話しします。テーマは「客寄せパンダ」と「てこの原理」です。

客寄せパンダを作り、そこに収益源をひもづける

そばうち教室の話が分かりやすい例です。受講料は1,000円程度で、これだけでは到底収入源にはなりません。ところが、当初は想定していなかった「材料のそば粉」が、実は大きな収益源になっていたそうです。教室そのものは人を集める「客寄せパンダ」であり、実際に稼いでいるのは別の商品、という構造です。この場合は、そば打ちの先生は昔、化学工業関係の会社に勤めていて、業務用の設備・機材を仕入れること自体には慣れていました。そのため、畑違いのそば粉づくりの道具であっても、調達のハードルをさほど感じなかったそうです。そしてモノづくりが大好きだったのです。

似たような発想は、自分の写真からオリジナルキャラクターを作る「マイキャラクターサービス」にも見られます。キャラクター制作そのものよりも、そのキャラクターを使った名刺や封筒、その他のオリジナル商品の制作が収益源になっている。入り口の商品・サービスと、実際に稼ぐ商品・サービスを意識的に分けているわけです。

それだけではなく、キャラクター製作は、単なる似顔絵ではなく、他人に覚えてもらえるように特徴をデフォルメしたキャラクターで評判が良かったです。
当時私も名刺を作っていただきました。今では、名刺にそのキャラクタは入れていませんが、皆さんに覚えて頂けて、評判も良かったのです。覚えて頂くということは重要です。

これは特別な業種だけの話ではありません。電化製品の量販店では、収益源は実は白物家電そのものではないと言われます。コピー機も、ハード自体では大きな利益は出ません。居酒屋であれば、料理そのものより「水もの」と呼ばれる飲み物のほうが収益性が高い。どの業界にも、人を呼び込む商品と、実際に利益を生む商品が別に存在しているケースは少なくありません。

大切なのは、この2つを意識的に分けて設計することです。客寄せパンダだけで満足してしまうと、いくら人が集まっても利益は残りません。そこに確実に収益が取れる商品・サービスをどう付随させるか、というセットで考える必要があります。

「てこの原理」を利用して、限られた力を大きく使う

もう一つの工夫が「てこの原理」です。小さな力を、うまい仕組みで大きな成果に変える発想と言えます。

ある国際色豊かなIT企業は、社長が、大学を卒業してすぐに起業された会社です。この会社が上手だったのは、補助金をうまく活用して商品開発を行い、完成した商品を安価な価格設定にすることで、多くの顧客に販売できたこと。自己資金だけに頼らず、外部の制度を「てこ」として使うことで、開発と普及のスピードを一気に上げています。

さらに印象的だったのが、政策への感度の高さです。政策が正式に発表される前、まだ審議中の段階から情報を集め、営業戦略を組み立てていく。情報を早く正確につかむことそのものが、競争優位につながっていました。まさに「情報戦を制する」という言葉がふさわしい動き方です。

そして最後の一押しとして、大手通信会社と提携し、その全国規模の営業拠点と販売人員を背景に、一気に全国展開を果たしました。自社だけでは到底届かない規模を、他社の力を借りて実現する。これもまた「てこの原理」の一つの形です。

まとめ ― 実際に目で見た成功のヒント

ここまで2回にわたってご紹介してきた事例を振り返ると、いくつかの共通したヒントが浮かび上がってきます。

  • 成功の8割は、予期しない偶然によって形作られるとも言われます。だからこそ、偶然をつかめる準備を日頃からしておくことが大切です。
  • 好不況の波を想定しながら、会社の体力を整えておく。
  • 自社の強みを分析し、自分が勝てるニッチな市場を目指す。つまり戦場を間違えない。
  • 客寄せパンダとなる商品・サービスを用意し、そこに確実に収益の取れる商品・サービスを組み合わせる。
  • 良質な情報をいち早く、確実に集め、情報戦を制する。
  • 「てこの原理」を効率よく利用し、自社の力以上の成果を引き出す。

どれも派手な必勝法ではありません。ですが、身の回りで実際に成功している会社を見ていくと、驚くほど共通してこうした地道な工夫の積み重ねがあります。ぜひ自社に置き換えて、当てはまるヒントがないか考えてみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました