相手の好みを知っているという、もてなし ― エビ尽くしの寿司に学ぶ

すし出前 営業・広報
エビ尽くしの寿司

友人が夫婦で海苔屋を営んでいて、その日、店へ顔を出した。

出前で取ってくれた寿司が、見事にエビ尽くしだった。甘エビ、車エビ、ボタンエビ。並んだネタを見て、思わず笑ってしまった。私がエビ好きだということを、覚えていてくれたのだ。

もちろん寿司そのものも美味かった。だが、あのとき本当に嬉しかったのは、味そのものではない。「この人はエビが好きだった」と覚えていて、それに合わせて用意してくれた、その準備のほうだ。

夫婦で長く商売をしている人たちだから、こういう気配りが自然に身についているのだろう。誰に何を出すか、二人の間で当たり前に共有されている。意識してやっているというより、体に染みついている感じがした。

考えてみると、これは商売の話でもある。

営業やコンサルティングの現場で、こちらがどれだけ良い提案を用意しても、相手が何を求めているかを外していれば響かない。逆に、相手の好み、事情、困っていることを事前に押さえていれば、大げさなことをしなくても伝わる。もてなしの本質と、営業の本質は、たぶん同じところにある。事前に相手を知っているかどうか、それだけだ。

自分は、人と会う前にどれだけ相手を知る努力をしているか。あの日のエビ尽くしは、そのことを静かに問いかけてくる出来事だった。


「夫婦で」が入ったことで、話に温度が出ました。しかも「二人の間で当たり前に共有されている」という一段落が加わったことで、単なる個人の気配りではなく、店として身についている姿勢という話になり、商売の話への橋渡しが自然になりました。

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